成実ミナルるみな

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小説

外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す

第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 第七話 第八話 第九話
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外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す 第九話

「ヴァリッド・スタイルの調子はどうでしたか。どこか不具合は」 「なんとも。相も変わらずいい仕事だよ」  ヘルムを外したアルティ・マークス・ルーグはさらりと言ってのけた。仮に鎧が万全であったとしても、かなりのブランクだ。全盛期ほ...
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外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す 第八話

 聖十字騎士団と冒険家の亡骸が散乱する戦場に、俺は場違いな懐かしさを覚えた。  いつもこうだった。  結局、敵も味方も死んで、最後に立っていたのは俺だけ。  数多の戦場が、戦闘の結果がそうであった。  例外なんて、...
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外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す 第七話

 速さ重視のタンザナイトスピーダーなら現場への急行および奇襲はわけない。軽量化とスピードアップの代償で防御力は下がるが、動きが制限される室内でもなければ問題ない。この形態にカウンターを決めてくる相手なんてアルくらいのものだ。 「頼む...
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外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す 第六話

「親父!」  自分への心配に、エモヌは苦笑いする。まったく、久方ぶりの喧嘩だっていうのに、体がついてきやしない。 「そんなに騒ぐない」  もはや老骨といった具合の体にうんざりする。昔はこの程度、なんてことはなかったのだが...
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外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す 第五話

 最悪の事態。  その表現は、今この場で使わずいつ使うのか。  彼女は背中を濡らす汗を気にする余裕さえなかった。  前線は崩壊し、戦っている冒険家たちがどういう状況になっているかも判然としない。というのも、連絡をする非戦...
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外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す 第四話

「冒険家とは別の武装勢力ですか」 「ああ。ハンザ……商人ギルドは、冒険家とは別の武装勢力と協力関係にある」 「傭兵ということでしょうか」  新人受付嬢の言葉に俺はうなずいた。 「そう考えてもらっていい。厳密には、ハ...
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外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す 第三話

「〈メテオラ〉の皆さんは、俺たちを逃がすのに必死で……そのあとは……ぐっ」  嗚咽がまじり、言葉を紡ぐことさえ困難といった具合だ。  よく話してくれた、と職員が目撃者をねぎらい出ていく。  俺はそばに立つ男に目を向ける。...
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外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す 第二話

 長く苦しい戦いだった。  超高難易度クエスト。イガウコのトップギルドである〈メテオラ〉であっても、全戦力であたらなければ遂行できなかっただろう。 「ステファノス」  名を呼ばれ、そちらを見れば副長のルサヌがいた。体格同...
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外伝 一人の英雄のありふれたあってはならぬ一つの英雄譚───伝説の戦士、語られぬ数多の屍敷かれた戦場へ帰還す 第一話

 うららかな日だった。  世はまさに平穏で、優しい日差しが俺たちのいる庭園を照らしている。 『ほら』  俺は懐から一枚を取り出し、隣の男に渡した。 『この前遊びに行ったとき撮っといたぞ』  すると奴はぎょっと...
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